3Dホログラム実用化の活用例について|仕組みや技術も紹介


3Dホログラムとは光を利用することで目の前に物体があるかのように立体的な映像を生み出す技術です。
一般的に3Dというと正面から見ると浮かび上がって見えますが、横から見ることはできません。
3Dホログラムとは360度どこから見ても立体的に見え、3Dメガネも必要としません。
まさに映画のような近未来な雰囲気漂うテクノロジーですね。
そんな3Dホログラムも近年様々なものに実用化され始めています。
今回はそんな3Dホログラムの仕組みや技術の解説、活用例について紹介していきます。

1 3dホログラムの仕組みについて

デジタルサイネージ

多くの人が3Dホログラムと聞くとSF映画などに出てくるような何もないところからパッと3D映像が浮かび上がるようなシーンを思い出されるのはないでしょうか?
正式には浮かび上がる映像全てを3Dホログラムと呼ぶわけではありません。
3Dに見える角度に制限があったり、メガネを掛けないと3Dに見えないというものは技術的には3Dホログラムとは似て非なるものなのです。
この違いによって、将来活用できる分野も大きく変わってきます。
ホログラムとは「肉眼で、360度どの角度からも立体的に見えるもの」に加え、「物体が立体的に記録・再生されているか」ということも大切なポイントです。
そもそも、3Dホログラムとは何もないところから映像を作り出す技術ではありません。
どういうことなのかというと、ホログラムとは光を受けるとキラキラと虹色に輝く印刷物のことを指します。
デジタルサイネージ

こんなものや、
デジタルサイネージ

こんなもの、普段よく目にしますよね?
これがホログラムなのです。
このキラキラをホログラムと呼び、これを作り出す技術をホログラフィと言います。
ホログラフィと光の要素を利用して3Dホログラムは作り出されていきます。
ここから少し光について解説していきます。

1−1 「光の振幅」、「光の波長」、「光の位相」の3要素

ホログラムとは
光の振幅(強さ)
光の波長(色)
光の位相(光の差す方向)
これら3点を記録、再生しているものです。
この中でも特に「光の位相」を記録、再生できることが3Dホログラムの特徴であり、立体的な映像を作り出す事ができる最大の要素です。
光の振幅が小さくても量が多ければ見え方も変わってくるので一概には言えませんが、光の振幅が大きければ大きいほど明るく感じることができます。
また、光の波長によって人は色を識別でき、虹などはそれぞれの波長が違うので7色に見えたりするのです。
この光の振幅、波長を記録、再生しているものが私達が普段テレビやパソコンなどで目にしている2Dの映像です。

1−2 「物体光」、「参照光」、「干渉縞」って?

私達が普段目にしているものをどのように捉えているのか。
例えば目の前にバナナがおいてあったとしましょう。
このバナナにあたった光が反射し、その反射した光を網膜が記録してバナナがあると初めて認識しています。
ただ、このときにはまだ平面としてしか認識していません。
この記録した光の情報を左右の目それぞれがキャッチして、その情報を脳が処理をして初めて立体物として認識します。
3Dホログラムはこのバナナに反射した光である「物体光」ともう一つ、「参照光」と言われる記録媒体に照射する光を利用します。
この物体光と参照光が干渉した結果、生まれた感光媒体が縞模様に感光します。
これを「干渉縞(かんしょうしま)」といいます。この干渉縞の情報を感光媒体に記録させます。
干渉縞に前述した光の振幅、光の波長、光の位相の情報が含まれています。

2 3dホログラムの技術

デジタルサイネージ

3dホログラムは記録させた干渉縞を再生させて映し出しますが、前述した干渉縞自体を見ても何もわからない状態です。
干渉縞と同時に参照光を照射することによって記録された情報が再生されます。
その情報が私達の目に光の情報が入り、立体的な映像として捉えられるようになります。
3dホログラムを使用するには光の振幅、波長、位相の3つの光をレーザー光で記録、再生する必要があり、これらを記録するデータ量も増え、画像解像度も鮮明でなければならないため、かなり高度で大掛かりな特殊機器が必要とされます。
そのため、現在は3dホログラムに似た技術が使用されるケースが多く見られます。

2−1 3D映像の機器について

立体的映像を再生させる機器も次々と開発されてきています。
大手企業の参入により、3dの技術も今後目覚ましい成長を遂げることになるでしょう。
具体的にどんな機器があるのかご紹介します。

・SONY立体視ディスプレイ

デジタルサイネージ
SONYからは2020年に高精細空間再現ディスプレイ(Spatial Reality Display)「ELF-SR1」を発売しています。
特別なメガネやヘッドセットなどは利用せず、裸眼で立体的に映像を見ることができる15.6インチの4Kディスプレイです。
こちらは3Dホログラムではなく、超高精細な3DCG映像を駆使した技術です。
展示会のプロモーションや、店頭のサイネージとして視認性、訴求性が高まるのは間違いありません。

・Microsoft「HoloLens 2」

デジタルサイネージ

「HoloLens 2」はMicrosoft初のMR(Mixed Reality:複合現実)対応のウェアラブルデバイスです。
MRとはVR(Virtual Reality:仮想現実)やAR(Argumented Reality:拡張現実)を超えた、現実世界に高解像度のホログラムを投影し、操作することができます。
MRの特徴として現実世界の物体や位置関係をデバイスが認識して、物体に合わせて映像を重ね合わせて投影してくれる点です。
このHoloLensも厳密に言えばウェアラブルデバイスを利用したもので、3Dホログラムの定義から外れています。しかし、この技術を活用すれば、設計段階の機器の完成イメージを作り上げたり、研究分野でも内部構造の見えにくいものを鮮明に映し出すことが可能であったり、博物館、美術館では、実際に動いている様子を見せることができたりとあらゆる分野での活躍が期待されています。

3 3Dホログラムの実用化した活用例

デジタルサイネージ

3Dホログラムなんて最新技術もう活用できるところなんてあるの?と思われる方も多いかもしれませんが、様々なシーンや企業で導入され始めています。
前述したとおり、3Dホログラムの定義として、肉眼で、360度どの角度からも立体的に見えるもの」、「物体が立体的に記録・再生されているか」ということが挙げられます。
ここではその3Dホログラムに似た技術で立体的に映像を映し出している技術の種類と活用例について紹介します。

3-1ペッパーズゴーストを応用した3D映像

3dホログラム映像として最も一般的と言えるのがこのペッパーズゴースト型です。
最新技術を積極的に取り入れたライブを行っている女性3人組ユニットのPerfumeや、初音ミクなどライブ・コンサートに使われることも多いです。
また、ディズニーランドのホーンテッドマンションもこの手法を使って皆さんを楽しませてくれています。
このように様々なところに使われている技術ですが、意外にも歴史は古く、1800年代から舞台演劇などで使われている技術です。
別の部屋にある物体に光を当て、板ガラスと照明技術で光を反射させてあたかもその場に存在するかのように見せかける手法です。
現代では技術の発達と応用によって立体ホログラムのように見せる演出がなされています。
どのような仕組みになっているかというと、まず、舞台を半透明のスクリーンで覆い、そこに映像を投影します。
このスクリーンは強い光は透過して映し出しませんが、弱い光であれば映像を映し出すことができます。
この作用を利用してスクリーンの奥の映像や人と、スクリーンに映し出した映像のどちらも見えることで立体的に写っているように演出します。
このスクリーンを大小様々なサイズで使い分けることによってライブなどのステージでとても有効的な活用ができます。
しかし、ペッパーズゴーストは立体的に見えますが、実際には立体ではないので、見る角度や、光の当て方に制限が出てしまう点が今後の課題となっています。

3-2 水蒸気のスクリーン映像

ペッパーズゴーストは実際にはスクリーンが使われており、何もない空間に映像を映し出すわけではありません。
そこで、開発されたのが水蒸気に立体のホログラム映像を映し出す技術です。
水蒸気を機械で霧のように吹き出し、その水蒸気をスクリーン替わりとします。
水蒸気に触れることでホログラム映像に変化をもたらすことができることで面白い演出となります。
ただ、逆に風が強いと映像が乱れやすかったり、こちらもペッパーズゴーストと同様、見る角度によっては綺麗に映像が見えない場合も出てきてしまいます。

3-3 ブレードを高速回転させて映し出す3D映像

今まで挙げた活用例は大規模でしたが小規模に活用できる事例もあります。
3Dホログラム・ディスプレイと呼ばれるLEDのついたブレードを高速回転させることでブレード自体は見えなくなり、立体的な映像が浮かび上がっているように錯覚させることができます。
最近は店舗の看板として活用しているところも少しずつ増えてきました。
まだまだ使用しているところも少なく、訴求力にも高い効果が得られるでしょう。
商品自体もレンタル可能で、大きさも取られることがないので個人でも活用できることから、様々な活用方法が期待できるでしょう。

3−4 目に直接映像を映し出す「網膜ディスプレイ」

これまで紹介した機器はスクリーンなどに映像を映し出すものでしたが、人間の目の網膜に直接ホログラム映像を映し出すという技術の開発が進んでいます。
網膜に映し出すためには専用のゴーグルを装着して実際の景色と重ねて立体的に映像を見ることができます。
網膜に直接映し出すので近視、遠視など視力矯正が必要な人でも鮮明にホログラム映像を見ることができます。
目の前でSF映画が繰り広げられるなど、臨場感あふれる演出が楽しめるようになります。
ただ、こちらも専用ゴーグルをすることで、体を動かすことに制限が出てしまったり、金額も優しい金額ではないので、こうした改善点も今後の普及の課題となっています。

3-5 【番外編】自分で3Dホログラムって作れる?

3Dホログラムは光の振幅、波長、位相の3つの光をレーザー光で記録、再生する必要があり、特殊な機材が必要なため、なかなか身近に体感できる機会がありません。
しかし、スマートフォンがあれば、擬似的に立体映像を体感できます。
準備するものはスマートフォン、CDケース、ペン、定規、カッター、テープかプラスチック用接着剤です。
CDケースを上辺1cm、下辺6cm、高さ3.5cmの台形にカッターでカットし、これを4つ作ります。
カットした板をテープで止め、ピラミッドのような形に組み上げたら完成です。
Youtubeなどで「3Dホログラム スマホ 動画」などで検索します。
先程作ったものをスマートフォンの上に乗せて、動画を再生させれば簡易的な立体映像を見ることができます。
簡単に作れてしまうので、お子さんなどと一緒に作ってみて体感してみるのも楽しいかもしれません。

4 3dホログラムの今後について

デジタルサイネージ

これから更に3Dホログラムは実用化に向けて改良が行われ、身近なものとなるでしょう。
今回挙げた投影方法によって活用できる分野も広がっていく個々となるはずです。
ライブやコンサートでは3Dを使った演出で更に臨場感あふれるものとなり、TVゲームなどは非常に3Dホログラムと相性が良いため、どんどんと導入されていくでしょう。
コロナの影響もあり一気に普及したリモートでの打ち合わせなどについてもホログラムが使用されるようになり、あたかもその場で話しているようなスムーズなやり取りができるようになることでしょう。
スポーツ観戦などもサッカーコートにいるような感覚で観戦できるようになるなんてこともあるでしょう。
7Dホログラムという言葉も近年話題になりつつ、ホログラムを映し出すだけではなく、触ることができたり、匂いなども感じ、五感を使って映像の中に入り込むことができる空間を作り出す技術です。
まだ、この技術は実現されているものではありませんが、このような技術が開発されればリアルとバーチャルの境がわからなくなるような、ワクワクする思い描いていたような未来の一片を体感できるようになるのではないでしょうか。

 

その他の記事では、最新の装置などの製品や注目・おすすめのイベントや体験といったものや
写真を使った新しい表現の方法など様々な記事をご紹介しています。

・3Dホログラム|ディスプレイの種類について|活用シーンも紹介

・デジタルサイネージの導入までの流れや会社等を知りたい方はこちら

最新情報をチェックしよう!