デジタルサイネージを導入しようと考えているものの、具体的な方法が分からず困っている企業担当者も多いのではないでしょうか。一口にデジタルサイネージといってもさまざまなタイプがあり、大きさや設置場所によっては専門の業者でなければ設置作業が難しいケースもあります。また、自社にとって最適なデジタルサイネージはどのようなタイプなのか分からないケースもあるでしょう。
そこで今回の記事では、そのような方にぜひ覚えておいていただきたい、デジタルサイネージを導入するまでの流れと注意点を解説します。
デジタルサイネージの運用には2種類の方法がある
デジタルサイネージに自社の広告を流したいと考えたとき、主に2つの運用方法があります。まずはそれぞれの運用方法の違いについて解説しましょう。
本体を自社で購入またはリースする方法
1つ目の方法は、デジタルサイネージそのものを自社で購入またはリース契約をするなどして、自社で運用するというものです。たとえば自社ビルのエントランスなどに設置して、来客者向けに広告を流す方法もあるでしょう。また、複数の店舗を経営しているオーナーであれば、お店の軒先にデジタルサイネージを設置し、不特定多数の通行客に対してお店の商品やサービスを訴求する方法も考えられます。
あくまでも自社で運用する方法のため、デジタルサイネージ本体の費用や広告制作にかかるコスト以外はかからないのがメリットといえるでしょう。また、お店にポスターや看板を設置するよりも注目度は高いほか、ポスターや看板を張り替える手間もかかりません。
すでに設置されているデジタルサイネージに広告を放映してもらう方法
2つ目の方法は、駅前や交通機関などに設置してあるデジタルサイネージに広告を流してもらうものです。ビルの壁面や駅の構内、交通機関の車内など、現在ではいたるところにデジタルサイネージが設置されています。これらの広告スペースを間借りするような形で、広告を流してもらいます。
自社ビルや店舗内などに設置するデジタルサイネージに比べ、はるかに多くの人の目に触れられるため広告効果は高いといえるでしょう。ただし、交通広告や屋外広告は自社と直接的に契約するケースは極めて稀であり、間に広告代理店を挟むことが一般的です。また、設置箇所によっては広告単価も極めて高額で、費用対効果を入念に検証する必要があります。
デジタルサイネージを設置する一連の流れ
デジタルサイネージには2種類の運用方法があることを紹介しましたが、今回は1つ目に紹介した自社で導入する方法および手順について、流れに沿って解説します。
デジタルサイネージを設置する目的の確認
はじめに行うべき内容としては、社内でデジタルサイネージを設置する目的を検討することが挙げられます。たとえば、自社のどの商品またはサービスを訴求するのか、なぜ広告を出すのか、広告を出すことによって得られる効果などを十分検証する必要があります。
デジタルサイネージを自社に設置する場合、広告代理店に依頼するよりもコストは安く抑えられるとはいえ、少なからず導入コストや維持のためのコストはかかってしまうものです。コストに見合うだけの広告効果が得られるのか、デジタルサイネージ以外の広告手法も含めて検討することが重要です。
中には、デジタルサイネージを導入すること自体がゴールとなってしまい、売り上げや客単価のアップなど、企業として目指すべき目的が見失われているケースも少なくありません。デジタルサイネージはあくまでも広告を流すための手段であり、目的ではないことを押さえておきましょう。
信頼できる業者を選ぶ
自社でデジタルサイネージを設置する場合には広告代理店と契約する必要はありませんが、デジタルサイネージを購入またはリースする業者を探さなければなりません。ごくシンプルな構成としては、大型の液晶テレビまたは液晶モニターにメディア再生機器を接続し、広告コンテンツを流すスタンドアロン型の運用も可能です。
しかし、現在ではネットワーク接続に対応したデジタルサイネージも登場しており、オンラインからコンテンツを更新できるタイプも存在します。デジタルサイネージのメリットを最大限に活かすためには、オンラインに対応したものを選ぶのもおすすめです。
さまざまな選択肢の中から自社にマッチしたデジタルサイネージを導入するためにも、ニーズに応じて最適な提案をしてくれる業者を選ぶことが重要です。1社に相談しただけでは分かりづらいため、できるだけ複数社に相談し、信頼できそうな業者を選ぶようにしましょう。
ちなみに、デジタルサイネージを専門に扱っている業者の中には、機器の販売またはリースだけではなく、広告コンテンツの制作まで請け負っているところもあります。
設置場所や設置方法の確認
業者選びが完了したら、実際にデジタルサイネージを設置する場所や設置方法を検討していきましょう。事前に設置場所の検討をしている企業や店舗も多いと思いますが、デジタルサイネージの大きさによっては、設置場所の条件が悪く作業が難しいケースも想定されます。また、もともと電源が確保されていない場所では、新たにデジタルサイネージ用として電源を確保するための工事が必要になることもあるでしょう。
さらに、物理的に設置は可能であったとしても、視認性の問題によって広告が見えにくくなるケースも想定されます。デジタルサイネージの最も重要な要素である広告効果が低くなっては意味がありません。
このようなノウハウはデジタルサイネージを専門的に扱っている業者でなければ判断が難しいため、相談しながらベストな方法を探っていく必要があります。
プラン・契約内容の確認および交渉
設置場所やデジタルサイネージのサイズが決まったら、契約内容の確認に移ります。一般的な液晶テレビのような小型のデジタルサイネージであればユーザー自身で取り付けが可能な場合もありますが、店舗の軒先や壁面などに設置するとなると、安全面も考慮しなければなりません。
多くの専門業者では、デジタルサイネージの配送から設置まで対応してくれるため、できるだけ作業は任せたほうが安心です。ただし、契約内容によっては、配送および設置は別料金となることもあるため注意しましょう。
また、デジタルサイネージを設置した後の保証内容や修理、メンテナンスにかかる費用も確認しておく必要があります。たとえば、お店の来店客がぶつかってデジタルサイネージを破損させるケースも考えられるでしょう。そのような場合、特にリース契約ではどこまでが免責となるのかなど、事前に条件を確認しておかなければなりません。
正式契約
契約内容が決まったら、正式な契約手続きに移ります。契約手続きの手順は業者によっても異なるため、それぞれの指示に従い必要な書類や印鑑などを準備しておきましょう。
正式契約の段階で注意しておきたいポイントとしては、デジタルサイネージの納品がいつなのか、実際に広告を流せるようになるのは何日後なのか、ということです。契約のタイミングによっては、本体そのものはすぐに配送できるものの、設置作業は業者側のスケジュールによって後になってしまうケースも想定されます。
特に年末年始や春のタイミングなど、多くの設置依頼が来るタイミングでは想定していたスケジュールに間に合わない可能性も考えられます。「事前の相談では設置スケジュールに問題なかったのに、正式契約が完了してからスケジュールがずれ込んでしまった」というトラブルに発展しないように、必ず納品および設置の時期を確認してから正式契約を結ぶようにしましょう。
デジタルサイネージの設置
正式契約が完了したら、デジタルサイネージの配送および設置に移ります。設置当日に注意しておきたいポイントとしては、社内や店内の備品・設備の破損です。あくまでも作業は慎重を期して行われますが、誤って備品や設備を破損させてしまうケースも考えられます。できるだけ安全に作業ができるよう、十分なスペースを確保しておくことはもちろんですが、作業の邪魔になるようなものは一時的に撤去しておくようにしましょう。
また、設置前には必ず作業者の立ち会いのもとでデジタルサイネージの本体に傷がついていないかを確認しておくことも重要です。設置作業が完了した後も、電源を入れて初期不良がないかあわせて確認しておきましょう。
運用およびメンテナンス
設置作業が無事完了したら、本体の操作方法や広告コンテンツの更新方法の説明をしてもらいます。専門業者の中には更新作業も請け負ってくれるところがありますが、できるだけ運用コストを抑えるのであれば自社で運用する方法がベストです。
また、広告コンテンツそのものをリニューアルするために、コンテンツ制作の依頼先を検討しておくことも重要です。導入の段階で、定期的にコンテンツ制作を依頼する前提で業者に相談してみるのもおすすめです。
ちなみに、すでにプロモーション用の動画コンテンツがある場合は、自社のデジタルサイネージに利用できるかも確認しておきましょう。コンテンツ制作時の契約内容によっては二次利用が許諾されておらず、デジタルサイネージには利用できないケースもあるため注意しましょう。
まずは信頼できる業者に相談してみよう
デジタルサイネージで広告効果を最大化するためには、まずは信頼できる業者を探し、疑問点を相談することが重要です。従来の看板やポスターといった広告手法とは異なり、デジタルサイネージならではのノウハウが求められることもあります。
今回紹介した導入までの流れを参考にしながら、デジタルサイネージの有効的な活用に結びつけてください。