企業価値を高めたり、自社の商品・サービスの認知度を高めたりする際に不可欠なのが広告です。一口に広告といってもチラシやWeb媒体を活用したものまで幅広く、ターゲットとなる客層や期待される効果を見極めながら判断する必要があります。
さまざまな種類がある広告の中でも、特に需要が高いのがOOH広告とよばれるものです。しかし、広告に詳しくない方にとってはOOH広告と聞いてもあまりピンとこないもの。そこで今回の記事では、OOH広告とは何か、どのような種類があるのかについても詳しく解説します。今後広告の展開を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
OOH広告とは
そもそもOOH広告の「OOH」とは「Out Of Home」の略で、その名の通り家の外、すなわち主に屋外に展開する広告全般のことを指します。ただし、あくまでもOOHの定義は家の外を意味しているため、駅の構内やビル、商業施設の中など屋内の場合もOOH広告に含まれます。そのため、一概に「OOH広告=屋外広告」とは限りません。
私たちの日常生活を振り返ってみると、いたるところに広告は存在しています。そして、その多くがOOH広告に該当することが分かります。たとえば電車の中吊り広告、ビルの壁面に設置されている広告看板、ロードサイドに設置されている看板など、無意識のうちに目に入るように工夫されているのです。
近年では雑誌やテレビなどの媒体に加えてインターネット広告の勢いが拡大していますが、OOH広告は一見アナログな手法と思われるものの高い効果が見込まれ、依然として根強いニーズを誇っています。
OOH広告は2種類存在する
OOH広告にはさまざまな種類が存在するのですが、大まかに分けるとすれば「屋外広告」と「交通広告」の2つが挙げられます。屋外広告とはその名の通り、ビルの壁面やロードサイドに設置する看板が代表的な事例といえるでしょう。また、交通広告は電車やバスの中に掲示する広告のほか、駅構内に設置される看板なども含まれます。
家から一歩外に出ればOOH広告はいたるところに設置されており、不特定多数の人々に対して企業や商品・サービスをアピールするには最適な手法といえるでしょう。
屋外広告の種類
OOH広告には屋外広告と交通広告の2種類が存在すると紹介しましたが、ここからはそれぞれの広告についてもう少し細分化して紹介します。まずは屋外広告についてですが、こちらは主に「街頭ビジョン」「広告看板」「サンプリング」「アドトラック」などが挙げられます。
街頭ビジョン
街頭ビジョンとは、ビル壁面の一部などに設置される大型ビジョンのことを指します。主に主要ターミナル駅前など多くの人が集まる場所に設置されることが多く、映像はもちろん音声も流すことができるため、多くの人の注目を集められるのがメリットといえるでしょう。テキストやイラスト、写真などが印字された看板やポスターは静的なコンテンツしか対応できませんが、街頭ビジョンの場合はテレビと同様に動的なコンテンツを流すことができるため、広告として伝達できる情報量は格段に違います。一方で、街頭ビジョンを設置するためには電源の確保や有効な設置場所を検討しなければならず、莫大なコストがかかってしまいます。
メリット | ◯ 動的なコンテンツに対応し視認効果が高い
◯ 静的コンテンツに比べて情報量が多い |
デメリット | × 電源確保や設置スペースの問題で設置場所が限られる
× コストが極めて高い |
広告看板
街頭ビジョンとは対照的に、静的なコンテンツを掲示できるのが広告看板です。ビルの屋上および壁面、ロードサイド、店舗の軒先など、いたるところに設置でき、古くから屋外広告の定番ともいえる存在です。電源の確保が難しい場所にも設置できるのは、街頭ビジョンにはない広告看板のメリットといえるでしょう。
一方で、長期間にわたって同じ場所に広告看板を設置していると、多くの人は見慣れた光景になってしまい、注目度が低下してしまうデメリットもあります。掲載するコンテンツや内容を新たなものに差し替えるとしても、街頭ビジョンのようにデジタルデータで手軽に配信することは難しく、メンテナンスや維持に手間がかかってしまいます。
メリット | ◯ 電源の確保は不要で、いたるところに設置できる
◯ コストが安い |
デメリット | × 広告内容やコンテンツの更新に手間がかかる
× 長期間掲示していると、見慣れた光景になり注目度が低下する |
サンプリング
サンプリングとは、街角やイベント会場など不特定多数の人が集まる場所において、チラシや販促品などを配布し広告効果を狙うものです。人が直接声を掛けて配布するため、足を止めて受け取ってくれることも多く一定の広告効果が見込める手法といえるでしょう。一方で、サンプリングにはチラシや販促物を配布する人手が不可欠であり、人件費がかかることがデメリットといえます。当然のことながらチラシや販促物を準備するための印刷費などのコストも必要なため、サンプリングを実施する日程や場所、時間帯などは十分考慮して決めなければなりません。
メリット | ◯ 足を止めて受け取ってくれるため一定の広告効果が見込める |
デメリット | × 印刷費などの実費に加えて人件費がかかる |
アドトラック
アドトラックとはラッピングカーと呼ばれることも多く、トラックそのものを広告媒体として活用する方法です。たとえば渋谷のスクランブル交差点など、多くの人が集まる都心部において、荷台部分に広告が掲示されたトラックを見かけることも多いと思いますが、まさにこれがアドトラックとよばれるものです。
一般車両とは異なり一際異彩を放つアドトラックは、ひと目見ただけでそのインパクトは抜群です。多くの通行人の注目を集めることができるため、広告効果は抜群といえるでしょう。また、壁面広告やビル屋上の広告など、そもそも広告を掲示したいスペースに空きがない場合にもアドトラックは有効な方法といえます。
一方で、トラックの運転手に依頼するための人件費がかかるほか、トラックに広告や装飾を施すための実費もかかるため、ある程度のコストはかかってしまいます。
メリット | ◯ 視認性は極めて高く広告効果は抜群
◯ 看板を常時設置するスペースが不要 |
デメリット | × 人件費と実費でコストがかかる |
屋外広告の比較
上記で紹介した4種類の屋外広告について比較したものが以下の通りです。
広告を設置する場所や大きさによっても条件は異なりますが、視認性や情報量という面から考えると街頭ビジョンが有利といえるでしょう。一方、サンプリングは人件費やチラシ、販促費の実費としてコストはかかるものの、その他の屋外広告に比べると相対的にコストが安いことも確かです。
街頭ビジョン | 広告看板 | サンプリング | アドトラック | |
視認性・効果 | ◯ | △ | △ | ◯ |
広告の情報量 | ◯ | × | × | × |
設置場所確保の容易さ | × | ◯ | ー | △ |
コスト | × | ◯ | ◯ | △ |
交通広告
OOH広告の2つ目の種類として挙げられるのが交通広告です。交通広告は「車内広告」と「構内広告」に分類されますが、こちらについても細分化して紹介しましょう。
車内広告
車内広告とはその名の通り、電車やバス、タクシーなどの車内に掲示する広告のことを指します。
たとえば、電車の中吊り広告はまさに車内広告の代表格といえるでしょう。電車やバスといった密室の中では、移動中多くの人が自然と車内に目を配ることになります。車内広告が他の広告と決定的に異なるのは、広告を目にする時間が圧倒的に長いということ。そのため、ひと目見てインパクトがある広告よりも、さまざまな情報を詰め込んだ広告を出しやすいメリットがあるのです。
一方で、特定の車両に乗車する人数は一日の中でも限られており、屋外広告や構内広告に比べて車内広告を目にする人の絶対数は少ない傾向にあります。そのため、より広告効果を期待するのであれば、車内の複数の場所に広告を掲示する必要があります。
メリット | ◯ 広告を目にする時間が長いため、情報量が多い広告を出しやすい |
デメリット | × 広告を目にする乗客の絶対数は少ない |
構内広告
駅のホームやエレベーター、階段やエスカレーターの壁など、構内のいたるところに設置されるのが構内広告です。車内広告に比べて圧倒的に目にする人の数は多く、高い広告効果が期待できます。
一方で、駅構内では足早に歩く人も多いため、車内広告のように多くの情報量が詰め込まれた広告は目に入りにくい特性もあります。
メリット | ◯ 車内広告に比べて目にする人の数が多い |
デメリット | × 情報量が多い広告は目に入りにくい |
交通広告の比較
屋外広告の比較と同様に、交通広告の2種類についてもそれぞれ比較してみました。交通広告の場合は、設置場所の確保およびコストは鉄道会社や路線によっても大きく異なるため、今回は視認性・効果および情報量のみで比較しています。
車内広告 | 構内広告 | |
視認性・効果 | × | ◯ |
広告の情報量 | ◯ | × |
OOH広告においても存在感を増すデジタルサイネージ
たとえば駅や街頭に設置される広告は、看板やポスターといったアナログ媒体が定番でした。しかし、近年ではデジタルサイネージが主流になりつつあり、大型の液晶ディスプレイが設置されている光景も珍しいものではなくなりました。
大型の街頭ビジョン以外にも、デジタル媒体を活用した広告は今後増えていくと考えられており、それに応じてデジタルサイネージの導入コストも徐々に下がると期待されています。
また、デジタルサイネージを活用することにより、従来の広告看板の課題であった情報量も格段にアップし、さらなる広告効果の向上にもつながると考えられます。